突然の膝の痛み、不安ですよね。原因は何なのか、放っておいて大丈夫なのか、気になりますよね。この記事では、年齢別に膝の痛みの症状をチェックできる早見表を使って、よくある症状や原因、放置した場合の危険性などを分かりやすく解説します。10代から70代以上まで、各年代に多い膝のトラブルを網羅しているので、自分の症状に合った情報がきっと見つかります。さらに、痛みに伴う他の症状や、家庭でできるセルフケアの方法、受診の目安などもご紹介。この記事を読めば、膝の痛みに関する不安を解消し、適切な対処法を知ることができます。

1. 膝の痛みの症状チェック早見表

まずはご自身の症状に当てはまるものがないか、以下の表で確認してみましょう。痛みの種類や程度、その他の症状などを総合的に見て、ご自身の状態を把握することが大切です。

症状 痛みの種類 痛みの程度 その他の症状 考えられる原因
急に膝が動かなくなる 鋭い痛み、激しい痛み 強い 腫れ、熱感 靭帯損傷、半月板損傷、骨折
夜間痛 鈍い痛み、うずくような痛み 中程度~強い 変形性膝関節症、腫瘍
体重をかけると激痛が走る 鋭い痛み、ズキズキする痛み 強い 腫れ、歩行困難 変形性膝関節症、半月板損傷、骨折
膝の変形 関節の動きの制限、O脚、X脚 変形性膝関節症、関節リウマチ
階段の上り下りで痛み 鈍い痛み、ズキズキする痛み 軽い~中程度 変形性膝関節症、半月板損傷、大腿四頭筋の筋力低下
正座ができない 突っ張るような痛み 軽い~中程度 関節の動きの制限 変形性膝関節症、半月板損傷
膝が腫れている 熱感、関節の動きの制限 靭帯損傷、半月板損傷、感染症
膝に熱感がある 腫れ、赤み 感染症、関節リウマチ
膝がカクカクする、音が鳴る 変形性膝関節症、半月板損傷
立ち上がり、歩き始めに痛み 鈍い痛み 軽い~中程度 変形性膝関節症

1.1 年齢別の膝の痛み 症状チェック

年齢によって膝の痛みの原因は様々です。以下に年齢層別のよくある症状と原因をまとめました。

1.2 10代~20代の膝の痛み 症状チェック

1.2.1 オスグッド・シュラッター病

成長期のスポーツ活動で膝のお皿の下に痛みが出ます。特にジャンプやダッシュが多いスポーツで発症しやすいです。

1.2.2 ジャンパー膝

ジャンプやダッシュを繰り返すことで膝蓋腱に炎症が起こり、膝のお皿の上部に痛みが出ます。バスケットボールやバレーボール選手に多く見られます。

1.2.3 半月板損傷

スポーツや急な動作で膝を捻ることで半月板が損傷し、膝に痛みや引っかかり感が出ます。

1.3 30代~40代の膝の痛み 症状チェック

1.3.1 変形性膝関節症の初期症状

初期段階では、立ち上がりや歩き始めに軽い痛みを感じることがあります。進行すると、徐々に痛みが強くなり、正座や階段の上り下りが困難になることもあります。

1.3.2 ランナー膝

ランニングなど、膝に負担がかかる運動を繰り返すことで、膝の外側に痛みが出ます。腸脛靭帯炎とも呼ばれます。

1.3.3 鵞足炎

膝の内側に痛みが出ます。ランニングやジャンプなどのスポーツで発症しやすく、縫工筋、薄筋、半腱様筋の付着部で炎症が起きます。

1.4 50代~60代の膝の痛み 症状チェック

1.4.1 変形性膝関節症

加齢による軟骨のすり減りが原因で、膝に痛みや腫れが生じます。正座や階段の上り下りが困難になることもあります。

1.4.2 半月板損傷

加齢とともに半月板が脆くなり、軽い動作でも損傷しやすくなります。

1.4.3 靭帯損傷

転倒や不意の動作で靭帯が損傷し、膝に痛みや不安定感が出ます。

1.5 70代以上の膝の痛み 症状チェック

1.5.1 変形性膝関節症の進行

変形性膝関節症が進行し、強い痛みや関節の変形が生じることがあります。日常生活に支障が出ることもあります。

1.5.2 骨粗鬆症による骨折

骨密度が低下することで、軽い転倒などでも骨折しやすくなります。大腿骨頸部骨折は特に注意が必要です。

2. 年齢別の膝の痛み 症状チェック

年齢によって膝の痛みの原因や症状は異なります。それぞれの年代の特徴を理解し、適切な対処をすることが大切です。

2.1 10代~20代の膝の痛み 症状チェック

10代~20代の膝の痛みは、成長痛やスポーツによるものが多く見られます。

2.1.1 オスグッド・シュラッター病

オスグッド・シュラッター病は、脛骨粗面(膝のお皿の下の骨の出っ張り)に痛みや腫れが生じる成長期のスポーツ障害です。ジャンプやダッシュなど、膝に負担がかかるスポーツをしている人に多く発症します。安静にすることが重要です。

2.1.2 ジャンパー膝

ジャンパー膝は、ジャンプ動作を繰り返すことで膝蓋腱に炎症が起こるスポーツ障害です。バレーボールやバスケットボールなどの選手に多く見られます。膝のお皿の下に痛みを感じることが特徴です。

2.1.3 半月板損傷

半月板損傷は、膝関節内にある半月板が損傷してしまう怪我です。スポーツや転倒などによって起こります。膝の痛みや腫れ、引っ掛かり感などが症状として現れます。

2.2 30代~40代の膝の痛み 症状チェック

30代~40代の膝の痛みは、スポーツによるものに加え、加齢による変化も影響し始めます。

2.2.1 変形性膝関節症の初期症状

変形性膝関節症は、加齢や肥満、過度の負担などによって膝関節の軟骨がすり減り、痛みや炎症を引き起こす病気です。初期症状としては、立ち上がりや歩き始めに痛みを感じることがあります。

2.2.2 ランナー膝

ランナー膝は、ランニングなどによって膝の外側に痛みが出る症状です。腸脛靭帯炎や大腿外側痛症候群などが原因として考えられます。

2.2.3 鵞足炎

鵞足炎は、膝の内側に痛みが出る症状です。縫工筋、薄筋、半腱様筋という3つの筋肉の付着部周辺に炎症が起きることが原因です。

2.3 50代~60代の膝の痛み 症状チェック

50代~60代の膝の痛みは、加齢による変形性膝関節症が主な原因となります。

2.3.1 変形性膝関節症

変形性膝関節症は、この年代で最も多く見られる膝の痛みの原因です。軟骨のすり減りが進行し、強い痛みや関節の変形などが現れます。

2.3.2 半月板損傷

半月板損傷は、加齢とともに半月板が変性しやすくなるため、軽微な外力でも損傷しやすくなります。

2.3.3 靭帯損傷

靭帯損傷は、転倒やスポーツなどによって膝の靭帯が損傷する怪我です。前十字靭帯損傷や内側側副靭帯損傷などが代表的です。

2.4 70代以上の膝の痛み 症状チェック

70代以上の膝の痛みは、変形性膝関節症の進行や骨粗鬆症による骨折などが主な原因です。

2.4.1 変形性膝関節症の進行

変形性膝関節症は、進行すると日常生活にも支障をきたすようになります。歩行困難や膝の変形などが顕著になります。

2.4.2 骨粗鬆症による骨折

骨粗鬆症によって骨が弱くなると、わずかな衝撃でも骨折しやすくなります。大腿骨頸部骨折などが代表的な骨折です。

年代 考えられる症状 主な特徴
10代~20代 オスグッド・シュラッター病 脛骨粗面に痛みや腫れ
ジャンパー膝 膝蓋腱の炎症
半月板損傷 膝の痛み、腫れ、引っ掛かり感
30代~40代 変形性膝関節症の初期症状 立ち上がりや歩き始めの痛み
ランナー膝 膝の外側の痛み
鵞足炎 膝の内側の痛み
50代~60代 変形性膝関節症 強い痛み、関節の変形
半月板損傷 軽微な外力でも損傷しやすい
靭帯損傷 転倒やスポーツによる靭帯の損傷
70代以上 変形性膝関節症の進行 歩行困難、膝の変形
骨粗鬆症による骨折 大腿骨頸部骨折など

上記はあくまで一般的な症状であり、自己判断は危険です。膝に痛みを感じたら、医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしてください。

3. 膝の痛みの原因

膝の痛みは、様々な原因によって引き起こされます。年齢を重ねるごとに膝関節の軟骨がすり減ったり、靭帯が緩くなったりすることで痛みが生じやすくなります。また、スポーツや日常生活での動作による負担が蓄積することで、膝の組織に炎症や損傷が起こり、痛みを引き起こすこともあります。ここでは、膝の痛みの主な原因を年齢、スポーツ、日常生活の3つの観点から詳しく解説します。

3.1 加齢による変化

加齢に伴う膝の痛みは、主に変形性膝関節症が原因であることが多いです。これは、長年の使用による軟骨のすり減り骨棘の形成関節液の減少などが原因で、膝関節に炎症や痛みが生じる病気です。初期には、立ち上がりや歩き始めなどに痛みを感じることが多く、徐々に痛みが強くなり、正座や階段の昇降が困難になることもあります。また、骨粗鬆症も高齢者の膝の痛みの原因となります。骨密度が低下することで骨が脆くなり、わずかな衝撃でも骨折しやすくなります。

3.2 スポーツによる怪我

スポーツによる膝の怪我は、激しい運動や急な動作によって起こることがあります。代表的なものには、ジャンプやダッシュを繰り返すことで膝蓋腱に炎症が起こるジャンパー膝、ランニングなどで膝の外側に痛みが出るランナー膝、大腿骨と脛骨の間にある半月板が損傷する半月板損傷、膝関節を支える靭帯が損傷する靭帯損傷などがあります。特に成長期の子供は、骨の成長に筋肉や腱の成長が追いつかず、膝蓋骨の下にある脛骨粗面に炎症を起こすオスグッド・シュラッター病を発症しやすいです。

3.3 日常生活での負担

日常生活での負担も膝の痛みの原因となります。長時間の立ち仕事や、重い荷物を持ち運ぶ作業、階段の上り下りなど、膝に負担がかかる動作を繰り返すことで、膝関節や周囲の組織に炎症や痛みが生じることがあります。また、肥満も膝への負担を増大させるため、痛みの原因となることがあります。O脚X脚などの脚の変形も、膝関節への負担の偏りを招き、痛みを引き起こす要因となります。以下に、日常生活で膝の痛みの原因となる動作や状態をまとめました。

動作・状態 詳細
長時間の立ち仕事 同じ姿勢を長時間続けることで、膝関節に負担がかかります。
重い荷物の持ち運び 過度な重量は膝関節への負担を増加させます。
階段の昇降 膝関節への負担が大きいため、痛みが増悪することがあります。
正座 膝関節を深く曲げるため、痛みが出やすい姿勢です。
肥満 体重増加は膝関節への負担を増加させます。
O脚・X脚 脚の変形は膝関節への負担の偏りを招きます。

これらの原因以外にも、関節リウマチ痛風などの全身性の疾患が原因で膝の痛みが生じることもあります。膝の痛みは原因によって適切な対処法が異なるため、痛みが続く場合は医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。

4. 膝の痛みに伴うその他の症状

膝の痛みとともに、他の症状が現れる場合もあります。これらの症状は、痛みの原因や重症度を判断する上で重要な手がかりとなります。複数の症状が組み合わさって現れることも少なくありません。ご自身の症状をよく観察し、適切な対応を取りましょう。

4.1 腫れ

膝の関節やその周辺が腫れている場合は、関節内部で炎症が起きている可能性があります。炎症の原因としては、変形性膝関節症、靭帯損傷、半月板損傷、感染症などが考えられます。腫れの程度は、原因や炎症の強さによって様々です。軽度の腫れの場合、見た目にはほとんど変化がないこともありますが、触ると熱感や圧痛を伴うことがあります。一方、重度の腫れの場合、膝全体が大きく膨れ上がり、皮膚が赤く変色することもあります。

4.2 熱感

膝に触れて熱感がある場合は、炎症が起きているサインです。細菌感染や関節リウマチなど、炎症を伴う疾患でよく見られます。熱感は、炎症によって血流が増加することで生じます。痛みの程度と熱感は必ずしも比例するわけではなく、強い痛みを感じていても熱感がほとんどない場合もあれば、軽い痛みでも熱感が強い場合もあります。

4.3 関節の動きの制限

膝の曲げ伸ばしが困難になる、特定の角度で痛みが増すなど、関節の動きに制限が生じる場合は、関節内部の構造に異常が生じている可能性があります。例えば、変形性膝関節症では、関節軟骨のすり減りによって骨同士がぶつかり、動きの制限や痛みを引き起こします。また、半月板損傷や靭帯損傷なども、関節の動きを制限する原因となります。動きの制限の程度は、損傷の程度や炎症の有無などによって異なります。

4.4 歩行困難

膝の痛みによって歩行が困難になる場合は、痛みの原因となっている疾患が進行している可能性があります。変形性膝関節症の末期では、関節の変形が進行し、痛みも増強するため、歩行が困難になることがあります。また、半月板損傷や靭帯損傷など、急性の外傷によっても歩行が困難になることがあります。歩行困難の程度は、原因疾患の重症度や痛みの程度によって異なります。

症状 考えられる原因
少し歩くと痛み、休むと楽になる 変形性膝関節症の初期
常に痛みがあり、歩行が困難 変形性膝関節症の進行期、骨折など
特定の動作で痛み、歩行が困難 半月板損傷、靭帯損傷など

4.5 その他の症状

上記以外にも、膝の痛みには様々な症状が伴うことがあります。例えば、膝の違和感、こわばり、クリック音、ロッキングなどです。これらの症状は、単独で現れることもあれば、他の症状と組み合わさって現れることもあります。症状が長引く場合や悪化する場合は、医療機関への受診をおすすめします。

5. 放置すると怖い危険なサイン

膝の痛みを我慢して放置してしまうと、取り返しのつかないことになる可能性があります。症状が悪化し、日常生活に大きな支障をきたす場合もあるため、注意が必要です。以下では、放置すると怖い危険なサインを具体的に解説します。

5.1 急に膝が動かなくなる(ロッキング)

膝に強い痛みを感じ、急に動かなくなることをロッキングといいます。これは、半月板損傷で半月板の一部が剥がれて関節内に挟まった場合などに起こります。ロッキングは放置すると関節の軟骨を傷つけ、変形性膝関節症に進行する可能性があるため、すぐに医療機関を受診しましょう。

5.2 夜間痛

安静にしている就寝時にも膝の痛みを感じる場合は、注意が必要です。炎症が進行しているサインである可能性が高いです。変形性膝関節症や関節リウマチなどで夜間痛が現れることがあります。痛みのために睡眠不足になると、日常生活にも影響が出てしまうため、医療機関への受診を検討しましょう。

5.3 体重をかけると激痛が走る

少し体重をかけるだけでも激痛が走る場合は、骨折や靭帯損傷などの重篤な損傷の可能性があります。無理に動かすと症状が悪化するため、安静にして医療機関を受診しましょう。痛みが強い場合は、救急車を呼ぶことも検討してください。

5.4 膝の変形

膝の変形は、変形性膝関節症が進行しているサインです。放置すると変形がさらに進行し、痛みも増強する可能性があります。O脚やX脚などの変形が気になる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

5.5 発熱を伴う

膝の痛みとともに発熱がある場合は、感染症の可能性があります。放置すると全身に感染が広がる危険性もあるため、速やかに医療機関を受診しましょう。特に、免疫力が低下している方は注意が必要です。

5.6 しびれや麻痺

膝の痛みとともに、足にしびれや麻痺がある場合は、神経が圧迫されている可能性があります。放置すると症状が悪化し、後遺症が残る場合もあるため、すぐに医療機関を受診しましょう。

症状 考えられる原因 受診の目安
急に膝が動かなくなる 半月板損傷など すぐに受診
夜間痛 変形性膝関節症、関節リウマチなど 早めに受診
体重をかけると激痛が走る 骨折、靭帯損傷など すぐに受診(痛みが強い場合は救急車を呼ぶ)
膝の変形 変形性膝関節症の進行 早めに受診
発熱を伴う 感染症 すぐに受診
しびれや麻痺 神経の圧迫 すぐに受診

上記以外にも、膝の痛みとともに、皮膚の発赤や腫れ、熱感などがみられる場合は、医療機関への受診が必要です。自己判断で放置せず、専門家の適切な診断と治療を受けることが大切です。

6. 膝の痛みのセルフケア

膝の痛みを和らげるためのセルフケアは、痛みの悪化を防ぎ、回復を促進する上で重要です。ただし、セルフケアはあくまで一時的な対処法であり、痛みが続く場合は医療機関への受診が必要です。自己判断でケアを行うのではなく、専門家の指導を受けるようにしてください。

6.1 アイシング

膝の痛みや腫れがある場合は、アイシングが効果的です。氷水を入れた袋や保冷剤をタオルで包み、痛む部分に15~20分程度当ててください。凍傷を防ぐため、直接皮膚に当てないように注意しましょう。1~2時間おきにアイシングを繰り返すことで、炎症を抑え、痛みを軽減することができます。

6.2 サポーターの着用

膝関節をサポートすることで、痛みを軽減し、関節の安定性を高めることができます。サポーターの種類は様々ですが、症状や目的に合わせて適切なものを選びましょう。例えば、スポーツによる膝の痛みには、テーピングやスポーツ用のサポーターが適しています。日常生活での膝の痛みには、日常生活用のサポーターが適しています。サポーターの選び方や使用方法については、薬局の薬剤師や専門家に相談することをおすすめします。

サポーターの種類 特徴 適した症状
オープンタイプ 膝のお皿部分が開いているため、圧迫感が少なく通気性が良い 軽度の痛みや腫れ
クローズドタイプ 膝全体を包み込むため、固定力が高い 中程度の痛みや不安定感
ストラップ付きタイプ ストラップで固定力を調整できるため、自分に合った締め付け具合にできる スポーツ時の痛みや予防
ヒンジ付きタイプ 金属製のヒンジが組み込まれており、膝の動きを制限し安定させる 靭帯損傷などの重度の痛み

6.3 ストレッチ

ストレッチは、膝周りの筋肉の柔軟性を高め、痛みを和らげる効果があります。ただし、痛みがある場合は無理にストレッチを行わないようにしてください。痛みが強い場合は、医療機関を受診し、医師の指示に従ってストレッチを行うようにしましょう。

6.3.1 太ももの前のストレッチ

立位または座位で、片方の足を後ろに曲げ、かかとをお尻に近づけます。この時、太ももの前側に伸びを感じることが大切です。無理のない範囲で30秒程度保持し、反対側も同様に行います。

6.3.2 太ももの裏のストレッチ

床に座り、片方の足を伸ばし、もう片方の足を曲げます。伸ばした足のつま先を手で持ち、膝を伸ばしたまま上半身を前に倒します。太ももの裏側に伸びを感じながら、30秒程度保持し、反対側も同様に行います。

6.3.3 ふくらはぎのストレッチ

壁に手をついて、片方の足を後ろに引き、かかとを床につけたまま膝を伸ばします。ふくらはぎに伸びを感じながら、30秒程度保持し、反対側も同様に行います。

これらのセルフケアは、膝の痛みを一時的に和らげる効果がありますが、根本的な治療にはなりません。痛みが続く場合や悪化する場合は、医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしてください。

7. 医療機関への受診目安

膝の痛みは、原因や症状によって適切な対処法が異なります。自己判断でケアを続けるよりも、医療機関を受診して専門家の診断を受けることが重要です。適切なタイミングで受診することで、症状の悪化を防ぎ、早期回復を目指せます。

7.1 こんな症状が出たらすぐに受診

以下の症状が現れた場合は、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。

症状 説明
強い痛み 安静にしていても痛みが強い、または、耐えられないほどの激痛がある場合。
膝の変形 膝の形が明らかに変形している、または、腫れがひどい場合。
発熱 膝に熱感がある、または、全身に発熱がある場合。細菌感染の可能性も考えられます。
歩行困難 痛みで歩けない、または、体重をかけられない場合。
急に膝が動かなくなる 急に膝の関節が動かなくなる、または、ロックされる場合。

7.2 様子を見て良い症状と受診目安

比較的軽い症状の場合は、しばらく様子を見て良い場合もあります。しかし、以下の目安を参考に、改善が見られない場合は医療機関を受診しましょう。

症状 受診目安
軽い痛み 2~3週間程度様子を見て、痛みが続く場合や悪化する場合は受診しましょう。
少し腫れている アイシングや安静にしていても腫れが引かない場合、または、腫れが大きくなる場合は受診しましょう。
関節の動きが少し悪い 日常生活に支障が出る程度に動かしにくい場合、または、徐々に動きが悪くなる場合は受診しましょう。

上記の目安はあくまで一般的なものです。症状には個人差がありますので、不安な場合は早めに医療機関を受診することをおすすめします。自己判断で放置すると、症状が悪化したり、慢性化したりする可能性があります。早期に適切な治療を受けることで、より早く回復を目指せます。

7.3 整形外科の選び方

整形外科を選ぶ際には、以下の点を参考にすると良いでしょう。

  • 専門とする分野:膝関節の治療に力を入れているか、専門医がいるかを確認しましょう。
  • 設備:MRIやレントゲンなどの設備が整っているかを確認しましょう。
  • 通院のしやすさ:自宅や職場から通いやすい場所にあるかを確認しましょう。
  • 口コミや評判:他の患者さんの口コミや評判を参考にしましょう。

自分に合った整形外科を見つけることが、スムーズな治療につながります。

8. 整形外科での膝の痛みの治療法

整形外科では、膝の痛みの原因や症状に合わせて、様々な治療法が用いられます。保存療法で効果が見られない場合や、症状が重い場合には手術療法が選択されることもあります。

8.1 薬物療法

痛みや炎症を抑えるために、内服薬や外用薬が処方されます。

内服薬には、痛み止めとして、アセトアミノフェン、ロキソプロフェンナトリウムなどがあります。炎症を抑えるために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が用いられることもあります。

外用薬には、ジクロフェナクナトリウム、インドメタシンなどの成分を含む、湿布や軟膏、クリームなどがあります。患部に直接塗布することで、痛みや炎症を緩和します。

8.2 注射療法

膝関節内に直接薬剤を注射する治療法です。炎症を抑えたり、関節の動きを滑らかにしたりする効果が期待できます。

ヒアルロン酸注射は、関節液の成分であるヒアルロン酸を補充することで、関節の動きを滑らかにし、痛みを軽減します。

ステロイド注射は、強力な抗炎症作用を持つステロイド薬を関節内に注射することで、炎症や痛みを速やかに抑えます。ただし、長期的な使用は副作用のリスクがあるため、使用頻度や期間が制限されます。

PRP注射は、患者さん自身の血液から採取した血小板血漿(PRP)を関節内に注射する治療法です。PRPには、組織の修復を促進する成長因子が豊富に含まれており、損傷した軟骨や靭帯の再生を促す効果が期待できます。

8.3 リハビリテーション

膝関節の機能回復や痛みの軽減を目的としたリハビリテーションが行われます。理学療法士の指導のもと、ストレッチ、筋力トレーニング、関節可動域訓練などを行います。

種類 内容 効果
ストレッチ 膝関節周辺の筋肉の柔軟性を高める exercises 関節の可動域を広げ、痛みを軽減する
筋力トレーニング 膝関節周辺の筋肉を強化する exercises 関節を安定させ、再発を予防する
関節可動域訓練 関節の動きを改善する exercises 日常生活動作の改善

8.4 手術療法

保存療法で効果が得られない場合や、症状が重い場合には、手術療法が選択されることがあります。膝関節の状態や痛みの原因に応じて、様々な手術方法があります。

関節鏡手術は、小さな切開から関節鏡と呼ばれる内視鏡を挿入し、関節内の状態を観察しながら、損傷した半月板や靭帯の修復などを行います。傷口が小さく、体への負担が少ない手術です。

人工膝関節置換術は、変形性膝関節症などで損傷が激しい場合に、損傷した関節面を人工関節に置き換える手術です。痛みを軽減し、関節の機能を回復させることができます。

骨切り術は、変形性膝関節症の初期~中期で、O脚やX脚などの変形が強い場合に行われる手術です。骨を切って変形を矯正することで、膝関節への負担を軽減し、人工関節置換術を先延ばしにすることを目的とします。

どの治療法が適切かは、患者さんの症状や状態によって異なります。整形外科を受診し、医師とよく相談して治療方針を決定することが大切です。

9. まとめ

膝の痛みは、年齢や生活習慣、怪我など様々な原因で引き起こされます。この記事では、年齢別に考えられる症状や、放置することで悪化する可能性のある危険なサイン、そしてセルフケアの方法などを紹介しました。10代~20代ではオスグッド・シュラッター病やジャンパー膝、30代~40代では変形性膝関節症の初期症状やランナー膝、50代~60代では変形性膝関節症や半月板損傷、70代以上では変形性膝関節症の進行や骨粗鬆症による骨折などが考えられます。急に膝が動かなくなったり、夜間痛、体重をかけると激痛が走る、膝の変形といった症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。自己判断で放置せず、専門家の適切な診断と治療を受けることが大切です。何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。